マシュマロテストとは
みなさんマシュマロテストってご存知ですか?
これは1960〜1970年代に実施された子どもの自制心とその後の社会的成功の関係性を図るための研究です。
具体的には
- テストの被験者(子供達)は机と椅子だけがある部屋に集められる
- 机の上にはマシュマロが置いてある
- 実験者の大人が「今から私は用事で少し部屋から出る。その間マシュマロを食べるのを我慢できたらもう一個あげる。でも、戻ってくるまでに食べてしまったらあげない」と告げて部屋から去る
- その後追跡評価を行いマシュマロを我慢できた子供と我慢できなかった子どものその後の社会的成功の関係を調べる
というものでした。
追跡評価を行ったところ、
- マシュマロを我慢できた子どもの方が
- 大学進学適性試験(SAT)の点数に210ポイントもの差がある
- 周囲から優秀と見られている
- この傾向は生涯にわたって継続する
というなんとも恐ろしい結果が出たのです。
子どもに自制心を身につけさせる必要がある?
私の子供は全然我慢ができません.
まさにこの実験のように「今これを頑張ったら後からいいことがあるよ」ということを言っても全く効果なし.
目の前の快楽を貪欲に追い求めます.
何かの本でマシュマロテストのことを知っていた私は. 「あぁ、うちの子は社会的成功とは程遠そうだなぁ。まぁ自分もそうだしいいか」. と諦めムードでした。
マシュマロテストには続きがあった!!
しかし、統計学を勉強しようと思って以下の本を読んでいた時なんとマシュマロテストには続きがあったことを知ったのです。
ちなみにこの本、統計学の知識が怪しい人には非常におすすめです。
単にデータの解釈の仕方だけではなく、
- データには誤差が載っていること
- 誤差はバイアスとランダムノイズに分けられること
- データを取得するときの工夫
などデータの集め方に関しても知ることができます。
機械学習が身近になってきて自分でデータを集める必要に迫られている人も多いと思いますが一度こういう本で基礎を知っておくことは非常に重要だと思いました。
自制心ではなく親の経済力が関係していた
で、マシュマロテストの続きの話。
追加試験を重ねるうちに. マシュマロを食べるのを我慢できる子の親は経済的に裕福な傾向にある. ということがわかってきたのです。
家が裕福な子供は美味しいお菓子やご飯をそうでない子に比べて頻繁に食べることができます。
なので、マシュマロも我慢できたということらしいのです。
そして親が裕福であれば教育にお金を沢山かけてもらえるためその後の社会的成功につながりやすい。ということだったのです。
重要なのは20秒まてるかどうかだけ??
ってことは親の経済力が全てなの?と思いますが、そういうわけでもなさそうです。
論文を読んでみました。
20秒未満の基準群と比較して、20秒以上待ったが7分以上待てなかった子どもの達成度の差は、7分以上待った子どもの差と驚くほど似ていた。(略) 20秒以上待つことができた子供とそうでない子供の差によって、満足を遅らせることによる見返りがもたらされているようであった。
このようなことが書かれており、少なくとも20秒待てればそれ以上は長く待てても違いはなしのようでした。
なので、大切なのは自制心の強さではなく、最低限の自己コントロールができるかどうか。なのかなと思いました。
この結果は、子どもの遅延能力を変化させるが、より一般的な認知・行動能力を変化させることができないような介入では、その後の成果に対する効果が限定的であることを示唆している。介入開発者が長期的なマシュマロテストの知見を再現するようなプログラムインパクトを生み出すことを望むなら、欲求充足の遅延に関連する、より幅広い認知・行動能力をターゲットにすることが、より実りあることを証明するかもしれない。
また、このようにも書かれていました。
今までマシュマロテストの結果を真に受け、子どもの自制心を養うプログラム等が開発されていたようですが、このテストで自制心を養ってもその後の成功には結びつかない可能性が高いことがわかりました。
子供は子供らしく、のびのび育ててもよし!と背中を押してもらった気がして少し気が楽になりました。