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学んだことや興味のあることを忘れないようにするためのブログ.それが人の役に立てば幸い.

思考の達人から学ぶ思考法~エマニュエルトッドの思考地図要約メモ~

エマニュエル・トッドの思考地図」を手に取ったきっかけ

エマニュエルトッドという著者の名前はなんとなく聞いたことがあった。 佐藤優氏か誰かの本を読んだときに登場したとかそんな理由だったと思う。

何をした人かはよく知らなかったが、ソ連の崩壊やトランプ政権誕生を予見した人のようである。 VUCAと言われる先行きが不透明な時代において、少しでも先を見通したいという気持ちが自分にもある。 また、仕事においても中長期計画を立てる際などにどうしても将来を予測する必要が出てくる。

  • 人生や仕事においてどうしても必要になってくる先を見通す力を少しでも養いたい
  • 思考するとはどういうことかよくわかっていないので今より考える力を鍛えたい

と思いこの本を手に取った。

思考するとは

とにかくInputすること

考えるのではなく、学ぶのです。最初に学ぶ。そして読む。歴史学、人類学などの文献をひたすら読み、そして何かを学んだとき、知らないことを知ったときの感動こそが思考するということでもあります

 

私にとって思考することの本質とは、とある現象と現象の間にある偶然の一致や関係性を見出すということーつまり「発見」をするということです

 

私にとって考えるというのはデータを蓄積するということで、データの関連性を見つけることや地図を比較するということは、ほとんど自然発生的にできることです

 

どうやってアイディアを得るのか、そのために何をすべきかというと、ひたすら何でも読むべきなのです  

筆者は何よりもまずInputすること、学ぶことを重視している。 膨大な知識を身につけ、その上で新たな意味(偶然の一致や関係性)を発見すること、またそもそも学ぶ過程で感動することを思考することだと述べている

思考の前提として入力が不可欠なことはもちろん認識していたが、学ぶ過程で感動すること自体を思考することだと書いていたのには少し驚いた。 なぜなら感動とはどちらかというと無意識状態で不意に訪れるもののようなイメージがあったからだ。 思考というのは意識をフル活用している状態だと思っていたので、感動すること=思考と言われると少し違和感があった。

しかし、なぜ感動するかを考えてみると、学んだことが自分の中で何かしらの意味を結んだからであり、意味を結ぶには無意識であれ何かしらの思考が行われていると言えそうだ。

好奇心を持っていろいろなことを学び、そして感動すること。 これだけで思考できていると考えると少し思考することの敷居が下がった気がする。 (もちろんなぜ感動したのかを振り返ることが大切だと思うが)

目的を持ってInputしない

私にとってそのプロセスというのは、完全に無意識で運しだいでもあり、言うなればシステムの機能障害のような状況と密接に結びついているのです

非常にいろんなことを学んでいるのです。そこに知的な目的というものは特にありません。そこにあるのは、ただただ学ぶことの喜びなのです。

 

これらの文献をひたすら読み続けるということはもしかすると意味のない作業かもしれないのです。ひょっとすると何かを得られるかもしれませんが(以降略)  

たくさんInputすることが学ぶことの前提だ。ということと同時に印象に残ったのは、 上の引用部分の文章だった。

これらから何を感じたかというと、 今の自分が持てる興味や疑問の外側を探すことの大切さ だ。

今の自分の世界は「今自分が知っていること」でできている。 その世界で自分が興味や疑問を持つことはどうしても自分の知識/能力の範疇で生まれたものにすぎない。

今の自分の状態の外側があるということを常に意識して、 目的を持ちすぎず世界を広げて行くことが大切だと感じた。

枠の外側に出る

社会をより良く理解するための条件として挙げられるのは、個人的な経歴や出身地などにおいて、その社会の外側に属している部分があるということです

先ほどの話にも通じるが、今所属している社会や組織等がどういった世界かを理解しその世界を外側から見つめられる視点を身につけることが大切そうだ。

これはなかなか簡単なことではないと思うが、今自分が思う常識も自分が所属する世界の中で生まれたものであるということを知っているだけで心に余裕が生まれるだろうし、自分の中に浮かんでくる感情や思考もそれらに規定されていると意識しておくことが大切だと思う。

番外編

歴史を学ぶ

日本も同様なのではないでしょうか。とにかく最新の研究成果や最先端のことばかりが教えられるのです。もちろんそれも必要なのですが、科学の歴史を学ぶことは、人間がどのようにして科学的な疑問を抱き、それに答えを見つけていったのかというその過程を学ぶことであり、それも重要なことなのです。

何かを学ぶ時どうしても最新情報を知りたくなってしまう。 でもそれだけだと、なぜ今新しく誕生した概念や技術が必要とされたのか、生まれたのかがわからない。

これがわからないと今後の進化を思い描くことも難しい。

何かを学ぶ時は過去からの歩みを理解した上で今どういう問いにみんな取り組んでいるのか?を意識しながら学ぶようにしたい。

「今の自分」にとらわれない

今回の本で一番心に残ったのは、目的を持ちすぎないこと。純粋に新しいことを学ぶことを楽しむことの大切さだ。

ここから自分は「今の自分」にとらわれないことの大切さを学んだ。

日々生活していると、

  • もっと〜の知識を身につけないと
  • もっと〜な経験をしないと
  • もっと〜な成果を出さないと

といった焦りに似たモチベーションに突き動かされて行動してしまう。 読む本や学ぶ分野も「今の自分が思いつくメリットの大きい分野」に絞られてしまう。

でも、今の自分が思いつくメリットばかりを追い求めて行動してしまうと結局今の繰り返しを延々と生きてしまうことになる。

じゃあどうすればいいのか。と考えてしまうと結局これも「今の自分に思いつくこと」しかない。 たまたま目にした面白そうなこと、偶然本屋で見かけた本、など偶然に身を任せた選択も少しずつ取り入れていきたいと思う。